悲しい本
2010年5月21日
本との出会いで、ほっとしたり、一人きりじゃない気分になることがあります。
今回紹介する絵本もそんな一冊。
最近出会ったのですが、大切な本になりました。
「誰にも、なにも話したくないときもある。誰にも。どんなひとにも。誰ひとり。…私の悲しみだから。ほかの誰のものでもないのだから。」
この絵本では、最愛の息子を失った一人の男が、その深い悲しみを語ります。
さまざまな方法で、悲しみから逃れようとしても、気づけば暗い悲しみの底。
でも悲しみの底から、幸せだったころを思い出します。
誕生日のロウソクの灯。
生まれたことを祝うロウソクの灯。
それは、
いのちの象徴でもあるとともに、
この先の人生の一歩先をともす灯でもあります。
生まれなければ楽しかった日々もなく、悲しみもない…。
悲しいともうれしいともとれるような、なんともいえない目でロウソクの灯を眺めている男の姿が忘れられません。
深い悲しみは簡単には消えない。
消えない悲しみにそっと寄り添ってくれる。
そんな本です。