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【新聞掲載】京都新聞に活動が紹介されました。

2010年9月4日

京都新聞の8月25日朝刊に、当センターの活動が紹介されました(2010年8月25日掲載http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/syuzainote/2010/100825.html)。

タイトルは、「仏教の分岐点 社会問題に宗教界の行動を」。私たちの団体は民間の団体ですが、ボランティアのなかには京都在住のお坊さんも多くかかわっています。そうした僧侶の活動に注目した記事となっています。少し長いですが、以下に転載しておきます。

自殺や貧困など、人のつながりの弱さが原因となる社会問題の解決に、仏教をはじめとする宗教界はもっと積極的な役割を果たせるのではないか。そんな思いで今年1月から6月までの連載「信ふたたび」の取材を続けた。現場で厳しい現実と向き合う宗教者は若手を中心に増えている。この動きが広がればと願う。

 妻を自殺で亡くした京都市内の男性(45)に、遺族支援などで仏教に何を求めるかを聞いた。「葬式仏教なんて批判されてるけど、まだまだ仏教がやれることはあるはず。自殺の問題でも、大きな役割を果たせるか、もう仏教はあてにならないと見限られるか、今はその分岐点ではないか」と、期待を込めた答えが返ってきた。

 「分岐点」であることを感じ取っている僧侶たちは動きだしている。浄土真宗本願寺派の僧侶と市民で今春発足した「京都自死・自殺相談センター」は、秋からの電話相談の開設を目指している。僧侶の竹本了悟代表(32)は「僧侶は種まき。京都のみなさんに支えられて、市民や企業の幅広い協力を得たい」と、社会との連携を重視する。電話相談を想定した研修では、互いに涙を流しながら話し合い、自殺を考える人にかける言葉を模索していた。

宗教者としての役割を前向きに探る姿勢を一部にとどめないために、巨大な組織力を持つ伝統教団の役割が重要になる。京都に本山を置く宗派の宗務総長に聞くと、「宗教界へ厳しい注文が出るのは、宗教家が社会に目を向けなかったから」(浄土宗・里見法雄宗務総長)「宗祖に返ってピンと響く行動なら、やらねばならない」(真宗大谷派・安原晃宗務総長)との現状認識があり、社会問題にかかわろうとする意欲は感じた。宗門内でも議論・研究する動きは広がっている。

 ただ、それが宗教界から社会への強いメッセージとなって伝わっていない印象を受ける。取材した若手僧侶からも「スタンドプレーにならないか不安」「取り組みに宗教色を出さない方がいい」と悩む声が聞こえた。社会問題にかかわる意義を教団内で共有し、考えや姿勢を世間に強く訴えることが、すでに行動している僧侶を支え、意欲がありながらも迷っている僧侶を後押しする力となるはずだ。(中略)

 人間関係の希薄さが引き起こす事件が相次ぐ中、宗教界は行政のように直接、厳しく責任を問われることはない。しかし宗教者が根本の原因に鈍感なまま、行動を起こさなかったとき、宗教離れはさらに深刻になるのではないか。(社会部・沢田亮英)